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呪いの神木

石狩川の支流、夕張川。
この中流に位置する栗山の町には、かつて呪いの神木がありました。

国道沿いの坂道に聳える樹齢300年ほどの春楡の大木。
この木は交通の妨げになる位置にありながら伐られない。
この木には伐ったら祟る呪いの樹であったのです。

明治の頃、この近くにあったタコ部屋で酷使された挙句、のたれ死にした労働者の遺体を根元に埋めたためとも、そのタコ部屋の炊事婦が輪姦され、それを苦にしてこの樹で首を吊ったからとも言われています。

大正時代に道路拡張のためこの樹を伐ろうと鋸を入れたところが、女がすすり泣くように樹が呻き、鋸が折れてしまった。
斧で伐りつけると柄が折れ、樵の腰に刺さって惨死。
ロープをかけて引き倒そうとすれば、ロープが切れて馬が死ぬ。
結局樹を伐ることは無理ということで、そのままで放置されていたのです。

昭和29年の台風で樹は上半分を折られましたが、それでも怪異な姿を道路際に晒しておりました。
しかし昭和40年代にまたしても道路拡張計画が浮上、泣く樹の伐採問題で町は大揺れに揺れました。

その時ある不良作業員が、歪んだ正義感か単なる功名心か分かりませんが、酔った勢いでチェンソーを持ち出し泣く樹に伐りつけたのであります。
呪いの神木も文明の利器には敵わず、数分で切倒されました。
その後、当然ながら作業員の家庭には不幸が続いて一家離散、完成した道路は交通事故が多発。
女性の幽霊を見た、との噂も絶えません。

たまりかねた町では慰霊碑を立て、そばにあった楡の若木を「二代目」として植え、供養したところがようやく事故は減ったとのことです。

めでたしめでたし

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