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脅かすつもりが

ある夏の日、AとBとCの3人で肝試しをすることになった。
選ばれた場所は廃校。3人は廃校の校門に集まることにする。

普通は3人で一緒に行くのだが、お互いの勇気を試そうと言うことで1人づつ校舎を回ることにした。
ルートは入り口から入り2階のトイレの一番奥の個室に入り、個室の壁に赤いマジックで印をつけてから校門に帰ってくるということだった。

まずはAが学校の中に入っていく。
しばらくしてAは何事もなかったように戻っていく。

次はBの番だ。
Bは懐中電灯を片手に学校の中に入っていった。

木造の校舎は真っ暗で、懐中電灯がなければ1メートル先の物も解らないほどだった。
きしむ階段を上がって2階へ上がっていく。

ホコリっぽい2階の廊下には教室が並んでいて、Bは教室側とは反対側のトイレに入っていった。
黴臭いトイレの中は蒸し暑く湿っぽかった。

一番奥の個室の扉を開け、中を懐中電灯で照らして確認する。
壁に赤いマジックで書かれた印を見付け、自分も印をつけようとBは個室の中に入っていった。

すると…、突然個室の扉が閉まってしまった。

Bは心臓が飛び出る程驚いた。
扉を開けようとするが、外から押さえ付けられているのか開かない。

しばらく頑張ってみたが開かない。
Bは冷静になり、「どうせAとCがふざけてるんだろう」と思い、逆にAとCを脅かそうと考えた。

「ここは下手な事をしないで、ずっと黙ったままでいた方が恐がるだろう」 と思ったBは、何もせずに2人が居なくなるのを待った。

「……」

しばらくして、誰かが走りだす音が聞こえたのでBは個室の扉を開ける。
扉はすんなり開いた。
Bは2人に文句を言ってやろうと思い、学校から出て、校門で待っていた2人に言った。

「ひどいじゃないか、扉を押さえるなんて!」

2人は笑いながら、「悪かったよ」と謝る。

「まったくもう…」

「まさか泣きだすとは思わなかった」

「…えっ? なんのこと?」 Bは泣いたりはしていない。

「だって個室のなかから小さく啜り泣く声が…」

Bは背筋になにか冷たいものを感じ、

「おまえら…、男子と女子…どっちのトイレに入った?」 とAとCに聞いた。

「え…、女子だけど…? おまえ女子トイレに入って…たんじゃ……」

「俺が入ったのは男子トイレだ!」

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