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ボール遊び

湯○曽のキャンプ場でAさんと数人の仲間が焚き火を囲んで、静かな夜をビールなぞ飲みながら楽しんだ。

そのうち夜も遅くなってきたので、そろそろ焚き火を消してお開きにしようということになったのですが、Aさんは小さな焚き火の炎に照らされてうつらうつらするのが心地よく、一人残る事にしました。
まわりを見渡しても小さな女の子が一人ボール遊びをしているだけでとても静かな夜でした。

でも、良く考えるとキャンプ場だとはいえ夜遅く女の子が一人で遊んでいるなんて少し妙な気がして良く見てみると、
暗くて遠いためか、ゆがんだシルエットではありますが、間違い無く5~6歳の女の子がボールを放り投げたり、蹴飛ばしたりして遊んでいます。

Aさんはさほど気にもせず、また目を閉じてうつらうつらしていたそうです。

しばらくして自分の横の草むらがガサッと音を立てました。

すると小さな声で“ボール…”と言う女の子の声が聞こえましたが、Aさんはそのまま目を閉じていました。
すると今度は足音がAさんに近づいてきて“おじちゃん、ボール…”と言っています。

Aさんは「ああ、ボールを取ってくれと言っているのか」と理解しうつむいたままそっと目を開けると焚き火に照らされた女の子の靴が見えて、大きな声で“おじちゃん! ボール!”と声をかけられました。

Aさんはハッとしました。

大きな声をかけられたからではありません。その声がAさんの横の草むら、ボールが落ちたと思われる場所から聞こえてきたのです。

Aさんはハッとして顔を上げると、そこには頭が無く体の形が歪むほどキズだらけの女の子が立っていました。
そうです、女の子が遊んでいたのはボールではなく自分の頭だったのです。
なんでもこのキャンプ場の近くで幼女のバラバラの遺体が見つかったことがあるということで、今でもこの場所には無邪気に自分の頭でボール遊びをする女の子が現れるそうです。


「お じ ち ゃ ん ! ボ ー ル !!」

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