広告枠

危険な魔除け

このお話は、私が中学2年の時のお話です。
時期もちょうど今頃の夏休み。

AちゃんとBちゃんとCちゃんとで、Aちゃんの家でお泊り勉強会をすることになりました。

その日、私はただ勉強するだけじゃと思い、「稲川淳二の怖い話」の本を持って行くことにしました。
実はこの本は、読書感想文のために買ったまだ未読の本。

Aちゃんの家で4人、夏休みの宿題をこなしていました。
お互い分らない所は教え合い、かなりはかどりました。

時間も随分たち、今日はもう勉強は終わりにすることになりました。
私は、待ってましたと言わんばかりに「淳二」を出しました。

そこでCちゃん、それだけじゃつまんないからと言って、ある物を持って来ていました。
Cちゃんはオカルト好きで、よく休憩時間、教室でネットで見つけた怖い話をしてくれるような子でした。

Cちゃんが持ってきてくれた物は、

1.ロウソク5本
2.ライター
3.正方形の白紙
4.白い粉(たぶん塩)

C「ネットで怖い話をするときの魔よけ見つけた」

と言っていました。

怖がりのBちゃんは

B「なんか怖いからやめよ?」

と言いましたが、Aちゃんの

A「みんな居るから大丈夫だって」

の一言でしぶしぶ承諾しました。
その方法は、部屋の四隅にロウソクを立てて、白紙の中央に赤ペンでトリイ?(神社の入り口の赤い門?)を書いて、その上に盛り塩をしてロウソクを立てるというものでした。

5本のロウソクに火をつけ、部屋の電気を消して、私の向かいには火を付け終えたCちゃんが座りました。

いよいよ始まりました。
私は読書感想文を兼ねていたので、「淳二」を1話からじっくり朗読してみんなに聞かせました。

はじめはみんな真剣に聞いていましたが、4話目を過ぎた頃から

「あれでしょその話」

「あ、知ってる」

とか茶々を入れるようになってしまいました。

そこで、Cちゃんが名乗りをあげました。
その話もネットで拾ったらしいお話。

その話は、オチがすれ違いざまの通行人が一言言うヤツ。

話も終盤にかかり、Cちゃんが

C「…こっちに向かってくる人が居ました。すれ違う瞬間、その人は…」

『呪ってやるぅぅぅぅぅ!!!』

Cちゃんが声を荒げてキメ台詞を言いました。

その瞬間でした。

Bちゃんの後ろのロウソクの火が消え、私たちはいっせいに悲鳴を上げました。



気が付くと、Cちゃんと私はAちゃんに抱きついていました。

A「……B…Bちゃん?」

Bちゃんは暗闇を背に、盛り塩のロウソクを見つめていました。

A「Bちゃん!」

Bちゃんがすーと顔を上げました。

その瞬間です。
Bちゃんの後ろの部屋の隅から、いっせいに

ゴッゴッ

ぎぎぎ~


ゴッざざゴッゴッゴッ



ぎゅぎゅぎゅ~

ゴッゴッゴッ

大勢が壁をたたく音、引っ掻く音が鳴りました。

再び私たちは悲鳴を上げました。

次の瞬間、ドアが開きました。
Aちゃんの両親でした。
Aちゃんの両親は部屋の雰囲気を感じ取り、私たちの親を呼び、お泊り会は解散となりました。

その後、私は両親に外出を許してもらえず、彼女たちとは電話でのやり取りのみとなりました。

しかし、私はあの日のBちゃんを思い出すと、Bちゃんには電話出来ず終いでした。
もちろん、AちゃんもCちゃんも。

出禁が解け、夏休みが終わり、始業式。
Bちゃんは欠席しました。

その日、A・C・私の3人でBちゃんの家に行きました。

いくらピンポンを押しても誰も出てきません。
3人は諦め、帰路につきました。

C「あ!」

Aちゃんと私はCちゃんの指先を見ました。

白いカーテンの架かった2階の窓。 誰も居ません。

それから暫らくして、ホームルームで担任の先生が、Bちゃんの転校をつげました。

そして先生も親も、Bちゃんの行き先については何も教えてくれません。

Bちゃんは何処へ行ったんだろうか…。

今思うと、子供の頃の好奇心が恐ろしく感じます。

今書いてて気が付いたことがあります。
白紙に書かれたトリイの向きが、Bちゃん側に向かって入り口だったのではないかと…。

0 件のコメント:

コメントを投稿

広告枠