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飽きるまで

以前働いていた食品関係の工場の話。
立ち仕事で足と腰が痛いので、仕事がはじまるギリギリまでトイレに籠っていたことがあった。

そこのトイレは更衣室から遠くてあんまり人が来ないところでした。
得に一番奥は、電気はついているのに何だか暗い感じがしたが、一番目立たなそうなので、よくその一番奥に座っていた。

その日もいつものようにトイレに座ってボーッとしていた。
何となく視線を感じて足元を見ると、隣のトイレとの壁の下が数センチあいているところから人の目が見えた。

しかも両目。

地面すれすれのところに顔をどうくっつけても両目見えるわけない。
急いでトイレから出たけれど、隣の個室にも誰もおらず、トイレから誰かが出入りした気配もなかった。

怖くなって、そこの工場に長く勤めているパートさんに聞いてみたら

「あぁ、あのトイレ滅多に使う人がいないのは、そういうのが『出る』からなんだよねぇ…」

と言われた。

「あの目と視線があったんですが、呪いとかそういうのは無いですよね?」
と聞くと、

「そういうのは無いけど、飽きるまで付きまとうらしいから注意してね」

と言われた。

付きまとう…?

その言葉の意味はその日の夜お風呂に入った時にわかった。

髪を洗って顔をあげた瞬間、目の前に「目」があった。

一瞬で消えたけれど、空中に浮かぶ「目」はマジで怖かった…。

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