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開けて助けて

私の弟の友人の話。
その友人の地元にある怖くて有名な廃墟。そこに何人かのグループで、ふざけ半分面白半分で遊びに行った奴らがいた。

廃墟をうろつく中で、ある一つの部屋にたどり着いた。
皆で固まって入ろうと扉を開ける。先頭になっていた女が足を踏み入れた瞬間、彼女一人を部屋に入れたまま扉が閉まった。

最初はふざけてやっているのかと思ったが、そうじゃないみたい。扉は開かないし、中からは彼女の壮絶な悲鳴。

何度も『開けて助けて』と断末魔のような叫びと、ガタガタと何かの大きな音。
3人の男の力を持っても、扉は開かなかった。

ただ事じゃないことに気付き、ひょっとしたら既に中に人がいて、彼女が襲われてるのかも…と思い、警察を呼びに行った。事実、地元の族やヤンキー共がたむろしたりすることもあったようだ。

警察が来て、扉を開けようとするが…開かなかった。
すると、その内彼女の悲鳴と物音が止まった。それまで開かなかった扉がスッ…と開いた。

彼女が倒れていた。身体のほとんどの関節が曲がるはずのない方向に折れた状態で。

これは地元のニュースでも流れたらしい。『変死体発見』という形で。

この廃墟にまつわる似たような怖い話は私も弟も知っていた。

でも、この話をしてくれた弟の友人が、最後に涙ながらに教えてくれた。

彼はだいぶ前にお姉さんを亡くしている。

「コレ、俺の姉ちゃんの話なんだ」


…なんとも言えない気分になった。

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